獣医師竹内 チンチラのてんかんについて
初めまして、今年の3月に鳥取大学を卒業し、4月から勤務している獣医師の竹内と申します。
幼い頃から動物が大好きで、病気や怪我で苦しむ動物を助けたいという思いから、獣医師を志しました。
げっ歯類が好きで、過去にシマリスとハムスター、ゴールデンレトリバーを家族で飼っていました。
現在はチンチラと文鳥を飼っています。今回はチンチラの紹介をさせていただきます。
チンチラは粗食家で太りにくいといわれていますが、我が家のチンチラは食いしん坊でぽっちゃり体系のため、現在ダイエットに挑戦中です。
そんな我が家のチンチラは、「てんかん」という病気を抱えています。
てんかんとは
「てんかん」とは脳の病気で、「てんかん発作」という、痙攣やハエ咬み行動などの症状が繰り返し起こります。
てんかんは原因により、いくつかに分類されます。
1.脳に構造的な病変がない「特発性てんかん」
2.脳腫瘍や脳炎、脳の奇形といった脳の構造異常が認められる「症候性てんかん」
我が家のチンチラは特発性てんかんに該当します。特発性てんかんは、遺伝的素因が原因だと考えられており、6ヶ月齢~5歳齢の若い間での発症が多いとされています。
てんかん発作
てんかん発作で最も多いのは痙攣ですが、幻覚が見えたり同じ行動を繰り返すといった、痙攣以外の症状も存在します。
脳には神経細胞が集まっており、体を動かしたり呼吸をする、といった様々な命令を、電気信号を通じて伝達しています。
何らかの原因で脳が異常に興奮し、電気信号が過剰に発生することで意識障害や痙攣などが発作的に生じます。
我が家のチンチラのてんかん発作では痙攣が起こります。発作の様子を、写真と共に紹介したいと思います。
まず、発作の起こり始めでは、ヒゲがピヨピヨと激しく動くことが多いです。
続いて、後ろ足が突っ張ったように伸びます。
写真では分かりづらいですが、その後、バタバタと体が動き回り、数分間で終息します。
発作が終わると、必死にご飯のチモシーを食べる行動を取ります。
発作が起こった際の対応ですが、怪我をしないように安全な場所に移動させ、痙攣中の落下事故や、
ぶつかって怪我をすることを防ぎます。また、移動後は痙攣が治まるまで静かに見守ってください。
発作の様子を目の当たりにすると、心配になり、思わず名前を呼んだり揺すったりしてしまう方も居られるかと思います。
しかし、それが新たな刺激となり発作が長引いてしまうことがあるため、静かに見守ってあげてください。
ただ、発作中に激しく暴れ周り、本人が怪我をしそうな場合には、毛布等をかけて保護してあげると良いかと思います。
てんかんの治療
犬では、てんかん発作が頻繁に起こると脳に様々な障害が起こるといわれており、その予防のためにも治療を行います。
治療は、抗てんかん薬という、脳の興奮を抑える薬を用います。特発性てんかんは、一生涯治療が必要になることが多い病気です。
薬を毎日飲んでいても、てんかん発作を100%起こらないようにすることは難しく、発作の頻度をいかに少なく抑えられるかがポイントになります。
我が家のチンチラは毎日薬を飲んでいますが、時々てんかん発作が起こることがあります。
また、てんかん発作が起こった際には記録をつけるようにしています。日付と発作時の様子、発作の持続時間、
考えられる原因(例えば、雨の日だった、おやつのレーズンを食べた直後に起こった、投薬時間が遅れた、など)を記録しています。
記録をすることで、現在や過去の状況を把握することができ、薬の量を調整したり、
原因を取り除いて発作の頻度を減らしたりすることができる場合があります。
もし、おうちで飼われている動物で、てんかん発作のような症状がみられましたら、動画で記録し、
来院時に持参していただけますと、診断の手がかりになります。
最後に
チンチラのてんかんは症例数が少ないため、犬や猫のように詳しい治療方法が記載された文献がまだまだ少ない状況です。
ですので、私自身の飼育するチンチラの治療を通して得た経験を、他の患者さんの治療の役に立てたいと考えています。
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