ウサギのマダニ感染症
この梅雨の時期は湿気も最大となり、外耳炎はじめとして皮膚病の動物が増える時期です。
そして、外部寄生虫の感染が増えるのもこの時期です。
本日ご紹介しますのは、ウサギのマダニ感染例です。
どこにマダニが喰い付いているかお分かりでしょうか?
実は下写真の黄色い丸の中にしっかり存在しています。
犬猫含めてマダニは被毛の薄い箇所を狙ってきます。
まぶたの周辺、口唇部周辺、耳介部周辺がよく寄生される部位です。
以前、ウサギのツメダニ感染症でその詳細をコメントいたしましたが、このマダニは若干異なります。
まぶたの皮膚を一部、口器が鋭く咬みついていました。
口器をちぎれないように取り除いたのが下の写真です。
このウサギ君ですが、屋外で散歩している間にどうやらマダニの感染を受けたようです。
マダニ類は幼ダニ、若ダニ、成ダニのいづれの時期においても吸血活動を営む節足動物です。
ツメダニなどのように顕微鏡で見ないとわからないダニと違って、大きさは数ミリに及ぶ大型のダニです。
加えて、刺咬症以外に吸血時にいろいろな病原体を媒介します。
日本ではキチマダニが野兎病を媒介することで知られています。
野兎病はヒトにも感染する人畜共通伝染病です。
治療法としては、口器を取り残さないように(要は頭部をちぎらないように)皮膚から引きはがします。
もっとも、今回のような単独の感染なら容易なことですが、多数寄生の場合は殺ダニ剤や滴下式駆虫薬を投与します。
一般的に流通している滴下式駆虫薬の中でもフィプロニル(フロントライン®)やセラメクチン(レボルーション®)ではマダニには効果がありません。
イミダクロプリド&イベルメクチン(アドバンテージハート®)やイミダクロプリド&ペルメトリン(フォートレオン®)を投与することで駆除します。
実際のところ、ウサギの外部寄生虫駆除薬は認可されたものは存在しません。
あくまで犬猫用に認可されたものを転用する形となります。
当然、間違った使用法ですと副作用を生じて死亡するケースもありますのでご注意お願いいたします。