新米獣医師カーリーのつぶやき-part68~血液検査のとある項目は・・・~-
こんにちは、獣医師の苅谷です。
4月のスギ花粉の時期にはくしゃみや鼻水で大変な状態に陥っていることが多いのですが、特に何もなく無事に過ごせたので今年は花粉症大丈夫かなと思っていたのですが・・・
今月に入り、眼の痒み、鼻水および痒みが出てきてしまい、現在つらい状態ですね。
今の時期だとイネ科の花粉が酷くなってくるそうですね。
何とかこの時期を乗り切っていきたいところです。
今回は血液検査で出てくるMCVやMCH、MCHCについてお話しします。
これらの項目は血液検査を受けると値は記載されていますがあまり説明されていないことが多いですね。
MCV、MCH、MCHCは全血球計算(CBC)でわかる貧血の種類を見当をつける赤血球恒数と呼ばれる項目のことを示します。
貧血かどうかはCBCにて赤血球数やヘモグロビン量(Hb)、ヘマトクリット(Ht)によって判断します。
赤血球恒数は赤血球数やHb、Htより値を算出します。
まずMCHは平均赤血球容積というもので赤血球1個あたりの平均的な大きさになります。
MCHは平均赤血球ヘモグロビン量というもので赤血球1個あたりの平均ヘモグロビン量になります。
MCHCは平均赤血球ヘモグロビン濃度というもので赤血球中のヘモグロビンの濃度になります。
これらの値を基に赤血球の大きさ(MCV)が正常(正球性)、大きい(大球性)、小さい(小球性)と色素の濃度(MCHC)が正常(正色素性)、薄い(低色素性)に形態学的に分類します。
以下がその分類をまとめた表です。
これにより形態学的に分類できたため、次に赤血球が新しく作られているか、つまり再生をしているかどうかで原因を絞り込みます。
再生している場合は基本的に大球性低色素性となります。
この場合、骨髄ではどんどん赤血球が作られるのですが、何らかの原因により再生量を上回る赤血球の喪失があります。
血液中に出てくる赤血球は成熟が間に合わず、若い状態で血中に出てきてしまうため、大きさが多くなり色素が薄くなります。
赤血球は若いときは大きく成熟してくると小さくなってきます。
正常な赤血球1つに含まれる色素の量は一定ですので、大きさが大きいと色素は薄くなりますね。
この再生性の大球性低色素性貧血には大きく2つに分けられ、どこかで失血している場合と溶血ー赤血球が破壊される場合に分けられます。
失血性には外傷や失血を伴う外科手術、寄生虫(マダニなどによる吸血、消化管内寄生虫による消化管内出血)、止血異常、腫瘍などがあります。
物理的に血管外に血液が出ていってしまいますが、骨髄には問題がなく赤血球の再生はしっかりとしているパターンですね。
溶血性貧血には血液(または赤血球)内に関わる感染症、玉ねぎや銅などといった中毒、免疫介在性疾患、不適合輸血、遺伝疾患、血管肉腫などの腫瘍などがあります。
この場合、血管内もしくは臓器内(主に脾臓や肝臓)で赤血球がどんどんと破壊されるます。
そのため、貧血の症状だけではなく、黄疸も一緒に出てくることが多いです。
今回は以上で終わります。
次回は赤血球があまり再生していない非再生性の場合についてお話しします。
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