新米獣医師カーリーのつぶやき-part36-~麻酔1~
こんにちは、獣医師の苅谷です。
先日、ナゴヤドームに野球観戦に行ってきましたが、延長の末、ドラゴンズの劇的なサヨナラ勝ちという幕切れでした。
長時間座っていたため、おしりは痛くなりましたが、とても楽しかったです。
今回は麻酔についてお話しします。
まず麻酔を行う目的です。
麻酔を行う目的は大きく4つあり、痛みをとること、意識を失わさせること、筋肉を弛緩させること、痛みや手術に伴う有害反射(自律神経の過剰な反応)を抑えることがあります。
痛みは外傷や病から身を守るための危険信号で、これが強くなればなるほど体の重要な部分を守ろうと反応して、かなり危険なショック状態に陥ります。
それが理由で、激しい痛みを伴い、動きがあると困る手術では麻酔が必要となってきます。
また麻酔にも2種類、全身麻酔と局所麻酔があり、この二つの違いは意識を失わせるかそうでないかのみです。
さて、この二つはどのような場面に使い分けていくのでしょうか?
動物の場合、全身麻酔は痛みを伴う手術以外にじっと同じ体勢をとらなければならないCTやMRIといった精密検査、同じく同じ体勢でいる必要がある腫瘍に対する放射線療法があります。
一方、局所麻酔は動物をしっかりと保定できる上での傷口の縫合や眼圧の検査や骨髄穿刺をして骨髄の検査をするときといった局所的な検査において使用します。
ここで麻酔というものは上手く使いこなすことができれば良いのですが、全身麻酔は一つ間違えるとそのまま目が覚めなくなってしまいます。
麻酔は神経を麻痺させることで痛みや意識、有害な神経反射を抑えますが、あまりにも強く効きすぎると脳の中で一番重要な呼吸や心臓を動かす、体の体温を維持することにかかわる部位までも麻痺させてしまうと危険です。
ここまで深く麻酔をかけてしまうと生命活動が停止してしまうため、痛みや意識を司る部位のみを麻痺できるように麻酔に使う薬の量を調節することが重要となってきます。
ただ麻酔で必要な部分を麻痺させる麻酔の量はそのこの年齢や体重(脂肪の量)、心臓といった循環器や肝臓や腎臓といった薬を運んだり、解毒する器官に何か異常があるこであると過剰な麻酔をかけてしまったり、逆に麻酔が浅くなってしまったりします。
そのために麻酔を行う前には、できるだけその麻酔薬の使用量を減らすために使用している薬というものもあります。
次回はこの麻酔前投与薬についてお話しします。
麻酔前投与薬ってなんだろう?と思った方は
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