こんにちは、新米獣医の苅谷です。

先週末、大阪で開催されたWJVFというセミナーに参加してきました。

現地では懐かしい顔ぶれにも会うことが出来ましたし、学ぶ事が多々ありました。

そして、今回の演題の中に私の卒論のテーマに関係した分子標的薬についてがありました。

この内容にも懐かしさを感じると共に興味をそそられるなと感じました。

この分子標的薬については次回のお話にするとして、今回はこの分子標的薬の適応となる肥満細胞腫についてお話します。

この腫瘍は犬の皮膚の腫瘍においてよく認められる腫瘍のひとつです。

どのようなところに腫瘍ができるのかというと体幹にできるものがもっとも多く、次に四肢、頭頸部ときて、稀に内臓にできることもあります。

さてこの腫瘍、肥満細胞腫と呼ばれているのですが・・・

犬においては悪性のものが多いです。

腫瘍において~腫と呼ばれるものは良性で、~癌と呼ばれるものは悪性という定義があります。

しかし、犬の肥満細胞腫は周りの組織への浸潤性や腫瘍に随伴する症状があり、見つかったら早めに外科的に切除となります。

この肥満細胞腫、基となる肥満細胞はヒスタミンやヘパリンといった物質を内包・分泌します。

黄色の丸で囲った細胞たちが腫瘍化した肥満細胞でその細胞内にある小さくモヤモヤとした紫色の点がヒスタミンやヘパリンといった物質です。

この肥満細胞が腫瘍的に増殖すると腫瘍付近の発赤や浮腫があったり、血液凝固障害や低血圧になったり、傷の治りが悪くなったり、消化管に潰瘍が出来たりします。

これがこの腫瘍が悪いところです。

さて、この腫瘍の治療の第1選択は手術により切除することです。

過去の院長ブログにて肥満細胞腫の手術の症例は紹介されていますのでこちらの参照をよろしくお願いします。

肥満細胞腫を手術でとるとなると組織への浸潤性を考えて、腫瘍の周りを余分に切り取ること(マージン)をしなければいけません。

もし腫瘍がマージンをとる事の出来ない場所・大きさだった場合・・・

他の治療法―抗がん剤を使用した化学療法や放射線療法にて腫瘍の容積を減らしたり、根治させることとなります。

肥満細胞腫を始め、その他多くの腫瘍の治療は手術で取り除くことができればいいのですが、それができないものもあります。

そうなった場合に化学療法や放射線療法を治療に用いていますが、まだ調べられてない部分が多く、日々研究が進んでいます。

今回セミナーを受けてきた分子標的薬は化学療法の1つで今腫瘍の治療においてhotな内容です。

この内容については次回にお話しします。

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