新米獣医師カーリーのつぶやき-part52~フィラリアのお薬について~-
こんにちは、獣医師の苅谷です。
今週はノーベル賞の受賞発表の週ですね。
ノーベル賞はその分野で重要な発見、発明をした、または貢献した人に与えられる賞です。
ノーベル賞は物理学、化学、生理学・医学、文学、平和と経済学の6分野ありますが、経済学賞だけ日本人の受賞者はまだいないそうですね。
また、本日は平和賞の発表ですね。
今回はチュニジア・ナショナル・ダイアログ・カルテットという民主化貢献団体が受賞しましたね。
アラブの春の発端となったチュニジアにて暴力ではなく、基本的人権に配慮した活発な市民活動で民主化を実現したことを評価されたとのことです。
武力紛争などで傷つけあいながら勝ち取るよりも、難しいですがこういった対話・交渉で解決することが一番いいですね。
今回は4日前に発表された内容ですが、大村智博士とウィリアム・キャンベル博士の生理学・医学賞を受賞された功績であるイベルメクチンの基なるものの発見や開発でした。
このイベルメクチンは人の場合だとアフリカなどの熱帯地域にある風土病である「象皮症」や「オンコセルカ症」の治療薬となっています。
日本に住んでいると馴染の薄いものですが、これらの原因となるものの名前を聞けばピンとくるかもしれません。
いわゆるこれらはフィラリアによる感染症です。
現在、犬に関しては蚊が飛ぶシーズンでは月1でおやつタイプなどのお薬を取ってもらって予防していただいています。
猫に関しても実はフィラリアに罹ってしまうことが判明してきたため、予防も普及しつつあります。
また、フィラリア症と同じ仲間に入る回虫や糞線虫といった糸みたいな虫の線虫類や疥癬などのヒゼンダニ類などの治療にも使用されています。
当院でも当然フィラリア予防にて処方していますが、鳥やハリネズミなどのヒゼンダニが見つかった際にはこのお薬にはお世話になっています。
イベルメクチンの基となるエバーメクチンが発見されたのが1975年、改良されてイベルメクチンができたのが1981年、家畜やペットに使用されるようになったのもこの年からだそうです。
そして、その後人のフィラリア症にも効果があるということがわかり、熱帯地域である蔓延地域にWHOを通じて無償提供されはじめた1987年から数多くの人々を救っています。
このような大村氏の偉業の裏には各地の土から有用な化学物質を作る微生物を探すという途方もない地道な積み重ねがあったそうです。
また大村氏のノーベル生理学・医学賞受賞時の「この道を行くと大変だと分かっていたら、そこに向かいなさい。そうすれば楽しい人生になる」の言葉も胸に刺さりました。
私もより良い治療が提供できるよう日々研鑽を積み、大きな壁があったとしてもそれをこえていきたいと思います。
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