新米獣医師カーリーのつぶやき-part59~ズーノーシス③~-
こんにちは、獣医師の苅谷です。
今年は暖冬と言われておりますが、昨日より冬らしい寒さになってきましたね。
今日は陽の光で少し暖かかったですが、それでも寒いことにはかわりありませんね。
今回は寄生虫のズーノーシスについてお話しします。
はじめにアニサキス症についてお話しします。
このアニサキス症は魚介類を生食する文化である日本において起こりやすいものです。
このアニサキスはイカやサンマ、サバなどの内臓や筋肉に寄生しており、その部分と一緒に幼虫が口に入ることで感染します。
感染すると激しい腹痛や嘔吐があります。
アニサキスの幼虫はよく加熱すること、もしくは長時間冷凍(-20℃で24時間以上)することにより死滅させることができます。
また鮮度の高い状態であれば、アニサキスは内臓にほぼいるため、内臓を取り除けば刺身として食べられます。
厚生労働省の指導では以上のことなどが挙げられており、この指導をしっかりと守っているスーパーなどの販売店で刺身用として売られているものは食べることができます。
ただ踊り食いといった魚介類の生食は感染する危険性が高いので避けるかそのリスクを理解したうえで行ってください。
また魚介類の生食で問題となるものとして顎口虫症や横川吸虫症、裂頭条虫症などがあります。
次にエキノコックス症です。
これは北海道や青森といった緯度の高い地域で認められる感染症です。
キタキツネなどの野生動物、犬や猫などの糞の中にいるエキノコックスが口から入ってしまうと感染してしまうのですが、症状が出てくるまで成人だと10年以上かかり、深刻な肝障害を引き起こします。
対策としてはエキノコックスがいる地域のキツネや野犬に近づかないようにすることです。
現在日本の本州に広がってきてはいませんが、去年愛知県でも感染経路は不明ですが、エキノコックス症と診断された野犬が報告されたので注意が必要です。
ちなみにこのエキノコックス症は間違いはありますが、某無免許天才外科医が主人公の漫画において取り上げられたことがあります。
次はトキソプラズマ症です。
これは食肉(特に豚)や妊婦さんで問題となってくることが多いです。
ヒトにおいては免疫がしっかりしている大人は症状が出ない、もしくは軽度の症状で済むことが多いのです。
ただし、妊婦さんが初めて感染してしまうとお腹の中の子供にこの寄生虫が感染してしまい、流産してしまったり、胎児の脳や眼に障害が出てしまったりします。
ヒトの場合、トキソプラズマに初感染した猫経由の感染が考えられます。
外に出ていく猫ちゃんだとこの寄生虫に感染する可能性があり、初感染すると数週間オ―シストという寄生虫の卵を排出し、人はこれを摂取してしまうと感染してしまいます。
ただし、室内飼いで生肉を食べず、市販のキャットフードを食べている猫ちゃんの場合はほぼ感染することはないです。
また便中に出たオ―シストが感染する力を持つまでには1日以上かかるため、毎日しっかりトイレを片づけていれば感染することはないです。
そのため妊婦さんがいる家庭で飼っている猫ちゃんを手放したり、隔離したりする必要はなく、トイレの片づけをできるだけ家族の方にやってもらったり、自身で片づけるにしても使い捨ての手袋を使用して行えば問題ありません。
最後に疥癬についてお話しします。
皮膚にヒゼンダニが寄生することにより激しい痒みを伴う皮膚疾患です。
疥癬については過去の院長のブログで犬や猫やハリネズミの動物種で紹介されています。
この寄生虫に関しては診療を行っている上で遭遇することが多く、時に手が痒くなることがありました。
対策としては症状の出ている動物がいる場合は治療を行い、駆除することと飼っているケージや使っている毛布などを熱湯などで消毒をするといったことが挙げられます。
今回は以上で終わります。
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