新米獣医師カーリーのつぶやき-part83-~咬まれたら怖い感染症~
こんにちは、獣医師の苅谷です。
今年の甲子園は決勝に進んだ両校どちらが勝っても初夏制覇ということでしたが、花咲徳栄が大勝にて幕を下ろしましたね。
ともあれ初優勝おめでとうございます。
今回は感染症についてお話します。
その中でも最近では重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が初めてマダニを介してではなく、哺乳類を介して感染が確認されたことで話題になりましたね。
まず感染症はどのように感染するのかというと
1.動物に咬まれたりして直接感染する
2.感染した動物のくしゃみなどにより空気を介して感染する
3.マダニや蚊といったベクターという虫などの衛生動物を介して感染する
4.汚染された水や土、食品などを介して感染する
以上が挙げられます。
今回はSFTSの件もあるため、1についてお話します。
直接感染する感染症としては狂犬病や猫ひっかき病、パスツレラ症、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症、そしてSFTSなどが挙げられます。
狂犬病は昔から有名ですが、この感染症が発症してしまうと100%命を落としてしまいます。
加えてすべての哺乳類(牛、豚、犬、猫、アライグマなど)に感染するため、狂犬病に感染した哺乳類に咬まれると2週間~2か月の潜伏期間の後、発症します。
日本では世界でも数少ない国内での狂犬病の発生のない狂犬病清浄国です。
海外では野犬や蝙蝠に咬まれると感染します。
日本も清浄国になって国内で狂犬病を発症した症例はすべて海外にて野犬等に咬まれて帰国したとのことでした。
もし海外へ渡航する際には狂犬病ワクチンを接種していくかできるだけ野生動物との接触を避けるようにしましょう。
またもし咬まれてしまった場合、狂犬病の潜伏期間の間に暴露後ワクチンを接種して狂犬病の発症を防ぐことができます。
猫ひっかき病は猫に咬まれたり、傷をなめられたりするとヒトに感染します。
猫からヒトへ感染する際は上記のように感染しますが、猫同士の場合はノミに吸血されることで感染します。
ヒトの場合は咬まれた場所に近いリンパ節がかなり腫れ、倦怠感があったり、吐き気などが症状としてでてきます。
一方猫においては感染していても病原性はなく、症状が現れないので見た目からは判断できません。
パツスレラ症、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症は犬や猫の口腔内に常在する細菌で咬まれたり、濃厚な接触にて感染します。
咬まれた部分が赤く腫れ、滲出液や排膿が認められ、発熱、倦怠感、吐き気などの症状が現れます。
また免疫力が落ちていると全身に細菌が回ってしまい、命を落としてしまいます。
最後にSFTSです。
このSFTSは今までSFTSウイルスをもったマダニに吸血されることにより感染すると言われていましたが、哺乳類(猫)を介して感染したという報告が上がりました。
症状としては発熱や嘔吐や下痢といった消化器症状、意識障害といった神経症状が現れます。
免疫力が弱い、または落ちている状態(若齢、高齢、免疫不全)では重症化し、命を落としてしまいます。
またこのようなウイルス感染症ではウイルスに対しての特効薬は少なく(ヘルペスウイルス感染症やインフルエンザ感染症etc..)、体の免疫力がウイルスを排除するまで症状に対しての対症療法しかありません。
そのため感染しないようにヒトであれば草むらに近づかない、知らない動物との接触を避ける、ペットに関してはしっかりとノミやマダニ予防対策をしっかりとすることが必要です。
動物に咬まれたときに明らかに様子がおかしい動物に咬まれた場合病院に行くと考えると思いますが、普通の様子のおかしくない動物に咬まれた場合は少し様子を見てしまう場合も話を聞いているとそこそこあります。
酷くなってから病院に行った場合、症状が重くなったり、治りが悪くなったり、最悪の場合、命にも関わります。
もし動物に咬まれた場合は病院に行き、医師の診察を受けましょう。
今回は以上で終わります。
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