ご無沙汰しております、獣医師の中嶋です。

急に寒くなって来ましたね。皆さまも体調を崩されぬよう、お気を付け下さい。

前回は麻酔の必要性、目的についてお話させていただきました。

前回のコラムはこちら

第2回の今回は麻酔中の呼吸についてお話しさせていただきます。

手術中は手術を行いやすくするために、自身で行う呼吸(自発呼吸)から人工呼吸に切り替えます。

意識が消失し、のどの反射(咽頭反射)が消失したら、気管内に気管チューブを挿入(挿管)します。

これは、当院の看板犬 ドゥ の手術の時の写真です。

挿管を行ったら気管チューブに麻酔器を接続し、酸素と麻酔を送ります。

手動で麻酔バックを人の手で押して酸素を吸入させることもできますが、特殊な状況を除いては、下の写真の、自動換気装置(ベンチレーター)に切り替えることが多いです。

ベンチレーターは呼吸回数吸気圧吸気時間を設定してあげれば、自動で正確にその通りに働いてくれます。

呼吸に異常があればベンチレーターがある程度は教えてくれます。しかし、すべての異常を検知できるわけではないので、私たちが逐一、異常がないかチェックをしています。

その際に重要となるのが麻酔モニターです。

麻酔モニターにはいろいろな数字が表示されますが、代表的なものは、

心電図

血中の酸素(ここではSpO2と表記します)

呼気中の二酸化炭素(ここではEtCO2と表記します)

などです。

どれも重要な項目なのですが、呼吸に異常があったときに、初めに反応があるのが、呼気中の二酸化炭素の指標であるEtCO2(正式名は呼気終末二酸化
炭素分圧)です。

黄色マル印のところに、センサーにつながるチューブがあります。

ここから、呼気中の二酸化炭素(CO2)を測ります。

次に反応があるのが血中の酸素の指標であるSpO2(正式名は経皮的動脈血酸素飽和度)
です。

舌や肉球の間で測ります。人だと指の先など(なので経皮的)

ここではドゥの舌で測っています。(黄色矢印

一番最後に反応があるのが心電図です。

つまり、呼吸の異常で心電図に反応が見られた時にはかなり危険な状態ということになります。

一番反応が良いのはEtCO2なので、基本的にはこれを見ながら、ベンチレーターの設定(呼吸回数吸気圧吸気時間)を変更して呼吸の調節をしています。

このように、麻酔中に正常に呼吸ができるように管理をしています。

次回は手術で使う麻酔薬についてお話します。

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