獣医師平林の小話 ~ヘビのマウスロット~
こんにちは。獣医師の平林です。
僕の近所の公園では先日桜が満開に咲いていました。
暖かくなって、動物達も活発になってきたのではないでしょうか。
僕は動物アレルギーを含め、色々なものにアレルギーをもっているのですが、やはりスギ花粉の時期は頭一つ抜けて症状が重くなるので大嫌いな季節です(笑)
・・・という書き出しで3月末から記事を書き始めたのですが、もう5月ですね。
4月の犬猫予防シーズンに入るやいなや忙殺されておりました。
さて、今日のお話ですが、前回に引き続きまたヘビです。
爬虫類のマウスロットといえば、名前だけは知っているという方も多いのではないでしょうか。
知名度に比例してとてもポピュラーな病気かというとそこまででもないのですが、やはり有名になるだけあってそれなりの数の患者さんが来院されます。
まずマウスロットがどんな病気なのか、というところからですが、口内炎(mouse rot)のことです。
例えば捕食時に負った外傷であったり、食餌の腐敗であったり、強制給餌の際に傷を付けてしまったりと、色々なことがきっかけとなって起こりえます。
飼育失宜(度を越えた多頭飼育、不衛生、温湿度が不適)や栄養学的問題(ビタミンAやCの不足、脱水)も原因となることがあるので、注意が必要です。
起こりうる症状としては、食欲不振、流涎、鼻汁、結膜炎、首の腫れなどがあります。
これらに対しての対症療法とともに、適切な抗菌剤の使用と、乾酪化した粘液物の物理的な除去をします。
以下、いつものように実際の症例写真をご覧頂こうと思います。
今回紹介するのは流涎が続くとのことで来院されたカーペットパイソンさんです。
口の中は涎でいっぱいですね。
固まってしまった膿の塊を除去していきます。
見える範囲で取り切ったところです。
一部炎症を起こして出血しているのがお分かり頂けると思います。
表面の消毒をして、処置は終了となります。
あとはご自宅で飼育環境に気を付けつつ、お薬を飲んで安静にしてもらいます。
マウスロットは、爬虫類を飼っている方は名前だけは聞いたことがある病気だと思います。
よくある病気ではないですが、口の病気というのは食欲に直結しますし、それはすなわち衰弱にも直結するということです。
おうちの子の異変に気付いたら早めに来院して頂けるとと思います。
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