獣医師竹内の小話 チンチラで梅雨に気を付けたいこと (湿度と毛噛み)
こんにちは、獣医師の竹内です。
梅雨に入り、雨の日が増えてきましたね。
今回は、チンチラの飼い主さんに梅雨に気を付けていただきたい、湿度と毛噛みのお話をしたいと思います。
我が家のチンチラのととろくんは、梅雨になると毎年必ず毛噛みをします。
毛噛みは、自身や他個体の毛を齧ることを言います。
齧ったところには、裂毛というちぎれた毛が認められます。
自身で毛噛みを行っている場合、砂浴び不足や周囲の騒がしさ、暇つぶし等の
環境のストレスが原因になっていることが多いです。
また、副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能亢進症との関連性も考えられているようで、
遺伝することもあるという報告があります。
上図は、毛を齧っている写真です。
1枚目は左体側面を、2枚目は腹部を齧っています。
酷い時はジージーと鳴きながら夢中で齧り続けます。
上図のように、毛噛みで右体側面に、噛みちぎれた毛(裂毛)が見られます。
この状態になると、元の毛並みに戻るのに数ヶ月かかります。
上図は、正常時の毛並みです。
ととろくんはなぜか梅雨の時期だけ毛噛みをします。
辞めさせようと毎年格闘しますが、隙を見て毛を齧り、
気づいた時には毛がゴワゴワになっています。
梅雨と毛噛みの関係に科学的な根拠はありませんが、
私の知り合いの飼っているチンチラも梅雨に毛噛みをするそうなので、
湿度が関連しているのかもしれないと考えています。
チンチラは乾燥地帯に生息する動物で、飼育下では湿度は50 %以下が好ましい
とされています(温度は18~22 ℃です)。
地域にもよりますが、梅雨の時期は湿度が約70 %で、
高い日には約80 %になることもあるようです。
ととろくんが梅雨の時期に毛噛みをするのは、
高い湿度により環境ストレスを感じているからではないかと考えています。
なのでここ数年、なるべく梅雨の時期の室内湿度を下げるように試みています。
まだ毎年毛噛みはしますが、年々少しずつ齧る範囲が小さくなってきました。
今年はまだ、ととろくんの毛噛みは認められていないため、
今年こそは齧らないように工夫したいと思います。
ととろくんの場合は梅雨の時期だけですが、当院では年中通して
毛噛み症状のチンチラの患者さんが来院されます。
原因は様々で、中には毛だけでなく、自身の皮膚も齧り
出血してしまっている患者さん(自咬症)も居られます。
毛噛みが見られましたら、何かストレスを感じていたり病気が隠れている可能性が考えられますので、
ぜひ動物病院の受診をお願いします。
また、チンチラは高温多湿が苦手で、高湿度では繁殖力が低下すると言われています。
高湿度により環境ストレスを感じている場合、毛噛みだけでなく、
熱中症や食滞などといった他疾患の原因にもなる可能性があります。
ですので、除湿器や冷房等を使用し、湿度や温度を適切に保つようにしてあげてください。
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