新米獣医師のつぶやき part1
こんにちは、獣医師の苅谷です。
だんだんと暖かくなり、例年通りならばそろそろ梅雨入りなのですが、今年は遅れ
ているみたいですね。
今回は診させていただく機会のあった皮膚糸状菌症について書こうかと思います。
まず、皮膚糸状菌症についてです。
これはカビの一種でいろいろな動物、人にも感染する病原体です。
人では水虫菌、白癬菌と呼ばれるものです。
カビなので空気中にふわふわと浮いている胞子が皮膚に付き、免疫力が落ちてい
ると感染し、皮膚の脱毛、フケや痂皮などが現われます。
また、暖かくなってくる春から梅雨に入る時期になってきますと気温、湿度の条件
が整い、この感染症は増えてきます。
この感染症の治療には抗真菌薬(病院でもらう普通の抗生物質とは違います)の内
服、動物種によっては塗り薬、そして薬剤含有のシャンプーによる洗浄があります。
治療する期間はだいたい4週間以上はかかります。
この治療期間はその時の気候に影響され、乾燥している時期であれば短く、じめじ
めしている時期であれば長くなります。
また、こまめに薬用シャンプーをしてもらうことでも治療期間は短くなります。
皮膚糸状菌症はできれば梅雨前には完治させたいところです。
さて私は今年の2月末まで国家試験の勉強していたわけですが・・・
診断方法において書面で勉強したものと現場で感じたものの間にちょっとした差異
ありました。
この皮膚糸状菌症の診断を下す方法には2種類あります。
①脱毛部分の辺縁の毛を直接顕微鏡で見て、胞子を検出する。
②脱毛部分付近の毛を培地に接種して、培養する。
①の場合、その場でカビが原因だと診断できるのですが、検出がとても難しいです。
②の場合、2週間ほど時間がかかってしまいますが、真菌がいた場合、ほぼ検出
できます。
当院では②の方法を選択しています。
これが真菌培養の培地です。
左が何も摂取していない元の培地です。
右が糸状菌に感染したこの毛を使って培養した結果です。
受験生時代では採材してすぐに結果の出る①の方法が良いだろうと思っていたの
ですが、院長の話を聞いて、また培養検査の検出率、飼い主様への説明のしやす
さをみていると②の方法のほうが全体的に効率がいいのではないかなと考えなお
しました。
今では①は国家試験で問題として出しやすいからでてきていたのかなと
思います。
今後も色々と国家試験用に勉強し学んだことと現場で学んでいくことに違いが
出てくると思います。
そして、その都度、国家試験で学んだことは絶対だとなるのではなく、現場に
柔軟に考えを対応させて頑張っていきたいと思います。
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