新米獣医師のつぶやき-part22-~肥満注意~
こんにちは、獣医師の苅谷です。
最近は朝もかなり寒くなり、なかなか布団から出られなくなってきましたね。
今回は肥満についてお話しします。
さて、この肥満というものはペットだけではなく、我々も気になる項目です。
肥満は見た目だけではなく、健康にも多大な影響を与えます。
それでは健康に関しての影響について少し挙げていきます。
まずは循環器と呼吸器です。
こちらのふたつはどちらかというと心臓や気管の周りに脂肪がついて物理的な圧迫により負担がかかります。
また血液がどろどろになり、血圧が高くなってきたことによって引きおこります。
肥満になるとヒトの場合だと動脈硬化や心筋梗塞などがありますが、犬猫の場合はヒトとは異なり、弁膜症をはじめとする循環器の疾患や呼吸器の疾患が多いです
次は運動器と内分泌です。
肥満になり、体重も増量していくと骨や関節にかかる負担が多くなり、運動器疾患でてきます。
また肥満体型になっているということは運動量が落ちていることが多く、消費エネルギーをこえた余剰エネルギーが脂肪となってつくため、運動能力も低下します。
内分泌とはホルモンが関係する病気です。
我々ヒトも含め、動物はどちらかというと体に栄養を蓄えることに関して不得手で、そのシステムも糖尿病に関係するインスリンしかありません。
インスリンの働くことが多くなるとインスリンが作用する場所がおかしくなったり、インスリンを分泌する膵臓が機能しなくなり、尿中に血糖が出てくる糖尿病になります。
最後の3つです。
代謝性疾患の脂肪肝とかはヒトでもよく聞きますね。
体の中で栄養を蓄える臓器の一つの肝臓に脂肪が蓄えられてゆき、脂肪肝になります。
脂肪肝になると通常の肝臓の機能を発揮できなくなり、肝障害が出てきます。
また、免疫力の低下や創傷治癒の遅延‐傷の治りが遅くなることは糖尿病が関係しています。
糖尿病になると血中の糖分を利用できなくなるため主に脂肪をエネルギー源として利用していくことになります。
この脂肪を利用するシステムに関係するホルモンの中には免疫や傷の治りに関係するものがあり、通常であれば問題ないのですが、糖尿病になると過剰に出てきてしまうため、引きおこってしまいます。
このように肥満になると様々な病気のリスクが上がってきます。
そもそも自然界において動物は余剰なエネルギーを脂肪として蓄える余裕はないため、エネルギーを使うシステムはしっかりしていても、その逆の蓄えるシステムは不得手です。
そのため肥満になっていくといろいろと体に不調が出てきます。
肥満にならないためにすることは・・・
1.筋肉量を増やすことで消費エネルギー量を増やすこと
2.一日の必要エネルギーを超えた食事をとらないこと
この2つが挙げられると思います。
ヒトであれば1を実行することは意志さえあれば可能ですが、動物は私たちがこうしろといってもやってくれないことのほうが多いのでどちらかというと2を実行していくこととなります。
よく診察をしていて肥満に関してきくと、おねだりに負けてヒトの食べ物やおやつあげているということを聞きます。
ヒトにとってヒトより体重が少ない動物にとってはかなりのエネルギー量になります。
そういうわけで肥満を気にされるのであればまずはこの2から始めていくことをお勧めします。
私は1を実行して筋肉をつけて肥満傾向を改善していきたいと思います。
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