新米獣医師のつぶやき-part26-~貧血~
新年あけましておめでとうございます。
新米獣医の苅谷です。
今年は新年早々この東海圏でも雪が積もりましたね。
外を見ると一面雪で自分の車にも雪が・・・
子供のころは雪といえば外に飛び出していってましたが、今やそんな気も起きませんね。
時が経つのは早いですね。
さて、今回は貧血についてお話しします。
貧血とは主に酸素の運搬を担う赤血球の減少や異常により体の末端まで酸素が行き渡らなくなる低酸素状態になります。
そして、この時、食欲不振、ぐったりとしている、運動後すぐに疲れるなどといった症状がでますが、貧血にのみ特徴的な症状はありません。
ただ貧血がひどくなると歯茎が白くなってきたり、皮膚が白くなってきたり、赤色の尿が出たり、黄疸が出たりすることもあります。
貧血といってもその原因となる疾病は様々です。
まず貧血は大きく再生性のものと非再生性のものの2つに大別されます。
再生性に分類される疾病は物理的に酸素を運ぶ赤血球が破壊されるため、貧血になる疾病です。
赤血球は主に骨髄で作られており(骨髄では血液の成分の赤血球、白血球、血小板が作られています)、再生性貧血になると赤血球の生産が追い付かず、赤血球が未熟またはかなり若い状態で血液に出てきます。
これは再生性貧血になっていたこの血液塗抹です。
大きい小さい形のものがありますが、黄色の枠で囲っているものがすべて赤血球です。
本来であれば赤血球の大きさは均一ですが、貧血になって血液の生産が活発になるとこの様に若い大きな赤血球が出てきて、赤血球の大きさがまばらになります。
ちなみに矢印は白血球です。
この写真は先ほどの血液塗抹を違う染色液で染めたものです。
写真の一面に見えているものが成熟した赤血球です。
黄色の○で囲んだものは成熟赤血球の一つ前の段階の網状赤血球というもので内側に紫色のモヤモヤとしたものが染まっています。
こちらが多く出てくるとなると骨髄での赤血球の生産が活発であることが言えます。
一方の非再生性ものの写真は残念ながらないのですが・・・
こちらは赤血球を作る過程に問題があり、上手く赤血球が作れない状態の貧血のことを指します。
例えば、赤血球の成分となる栄養素(鉄、VB12、葉酸)が足りなくなると、正常な働きをする赤血球を作れなくなり、酸素が十分に行き渡らなくなります。
また、腎臓では赤血球を作るのを促す指令を出すホルモンを出すのですが、腎臓が機能が悪くなるとそのホルモンが作られなくなり赤血球の産生が低下し、腎臓による体の中の老廃物の排出が上手くいかなくなるため、浸透圧といったもので赤血球の形が変わり、赤血球も壊れていきます。
また、白血病などの腫瘍で骨髄の赤血球の生産ラインを乗っ取られ、赤血球が作られなくなり、貧血になることもあります。
貧血といっても原因となる疾病はいくつかあります。
貧血かどうかは顔色や歯肉の色、血液をとって検査をすればわかります。
貧血となる原因については血液を取っただけではわからないこともあります。
その点を見逃さないよう、日々注意深くみていきたいと思います。
まだまだ未熟な苅谷ですが、今年もよろしくお願いします。
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