新米獣医師カーリーのつぶやき-part57~ズーノーシス①~-
こんにちは、獣医師の苅谷です。
いつの間にか12月に突入して、今年も残り一月を切りましたね。
やり残したことの内容にして新年を迎えたいところですね。
今回はズーノーシス(人獣共通感染症)についてお話しします。
ズーノーシスとは日本語訳の人獣共通感染症という言葉が示す通り、人にも動物にも同じ病原体が感染、もしくは寄生して症状を示す病気です。
ズーノーシスにはどのようなものがあるかというと細菌や真菌やウイルス、それ以外の微生物、寄生虫、プイオンによるものがあります。
まず細菌におけるズーノーシスは結核、レプトスピラ病、パスツレラ症などが挙げられます。
結核は正岡子規などの日本の多くの著名人の命を奪っている多湿な環境である日本では感染しやすく怖い病気です。
また我々が口にする牛乳でも感染するため、一昔前の牛乳の殺菌処理の基準としてこの結核菌を殺菌できる条件で設定されていました。
次のレプトスピラ病です。
これは病原体を持ったネズミやキツネなどの野生動物の尿に汚染された水や土から口からまたは傷から感染して重症になると黄疸や出血、肝・腎障害などを起こします。
ワンちゃんの混合ワクチンにおいてこのレプトスピラのワクチンが含まれているものもありますね。
細菌によるズーノ―シスで最後に挙げさせていただくのはパスツレラ症です。
パスツレラ菌は犬・猫の口腔内に常在化している細菌です。
更に犬歯により深いところまで傷ができる(特に猫では)ため、噛まれた部分がバンバンに腫れてきて滲出液や膿が出てくるようになります。
この感染症に関しては私自身も経験したことがありまして、結構腫れてきますので、噛まれた場合は放置をせず、病院に行き治療を受けましょう。
次に真菌によるものつまりカビによる感染症です。
真菌による感染症には人でいう水虫の仲間による皮膚糸状菌症やクリプトコッカス感染症などが挙げられます。
皮膚糸状菌症は当院でも梅雨のような多湿の時期になると発生率が上がってくる感染症の一つですが、動物ですと全身に毛が生えているため、円形の脱毛が目立って出てきます。
人だと足の皮膚が赤くじゅくじゅくなりむけてきたり、爪が白くなったり、頭皮に円形の脱毛が見られたりします。
クリプトコッカス感染症は呼吸器(上部気道・肺)、脳や脊髄といった神経、皮膚に症状を表します。
こちらの真菌は環境中に存在しており、健康な動物で免疫がしっかりしていれば抑え込めますが、免疫力が落ちてくる(猫エイズや長期にわたるステロイドの服用など)で日和見的に発症してしまいます。
また、この原因となるクリプトコッカスはハトの糞に含まれていることが多く、それを吸い込むことで体の中に入ってきます。
真菌による感染症は基本環境中に存在する真菌で免疫力が弱まった時に日和見的に感染して発症することが多いため、免疫力が弱くならないように健康に保つことと生活環境の衛生面を気を付けてあげることが重要となってきます。
今回は以上で終わります。
残りは次回に続きます。
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