新米獣医師カーリーのつぶやき-part78-
こんにちは、獣医師の苅谷です。
乾燥しているこの時期は金属などを触ると静電気が発生して痛い思いをしている今日この頃です。
以前食事療法にて肥満が改善したわんちゃんがいましたので、ROYAL CANINさんの症例報告にエントリーしたところベストケースとして賞を受賞しました。
そして、この件に関して取材を受けましたので、今回はその紹介をさせて頂きます。
今回の減量が成功したワンちゃんは以前、加藤先生が肥満についてのブログで少し紹介されていたこです。
このワンちゃんはヨークシャテリア、6歳のこで体重は4.5㎏でした。
もともとは後足の歩き方がおかしいという主訴にて来院されました。
左後肢の軽度の膝蓋骨脱臼が認められ、このような関節疾患は肥満であると悪化させる可能性が高いため、減量を勧めました。
飼い主様も関節疾患と肥満の関係、減量の必要性を納得してもらい、結果として1㎏以上の減量が成功しました。
では体重の変化の様子を写真で追っていきましょう。
まず減量開始する前の状態です。
毛の量で少しわかりずらいですが、腰回りのクビレもなく、下腹部も少したるんでいました。
体つきもBCS(ボディ・コンディション・スコア)にて判定しますが、適正よりはほど遠く、9段階中8段階でした。
(数字が低いほど痩せ気味、高いほど太り気味)
これを基に目標体重を設定し、半年ほどでたどり着けるように始めました。
また、この状況で運動量を増やすことは逆に関節に負担をかけるため、食餌を徹底することで減量を進めていきました。
フードは減量用のフード(満腹感サポート)のみ、間食はなしということで始めました。
フードによる原料を始めてから1か月後の状態です。
体重の減少は認められましたが、体型の変化はあまりない状態でした。
減量を始めてから2か月後の状態です。
体重も順調に減少し、体のラインも少しづつ認められるようになってきました。
減量を始めて3か月後の状態です。
減量開始前に比べて、体型も一回りほど小さくなってきました。
加えてこの頃より活動性、動きの変化も認められるようになってきました。
飼い主様いわく、肥満であった時より活発になり、動きにもキレがで始め、肥満でなかった時に近い動き方に戻ってきたとのことでした。
減量を始めて4か月後の状態です。
この頃になると体のラインの凹凸がしっかりとわかるようになり、今回の減量もあと少しというところまでやってきました。
減量を始めて5か月後の状態です。
体重も目標体重にたどり着き、体型も活動性も若い時に近い状態になりました。
最終的には体重は1㎏以上で減量の3.2㎏、BCSも標準の4までにすることが出来ました。
今回の件では減量は順調に進み、健康を害することなく、最短で目標に到達することが出来ました。
成功のカギは食餌管理が徹底できたという点に尽きると思います。
フードの量もしっかりと計量し、間食をなくしていけたことがよかったと思います。
また減量が順調に進み、体への負担が少なくなったことにより活動性が増し、運動量が増えてきたことも減量成功のポイントだったと思います。
減量に成功したこのこはその後もこの時の体型を現在でも維持できています。
ペットの減量はペット自体の意思で始めることはなく、健康上の観点から飼い主様に始めていただくことが多いです。
肥満が問題となるこは一番の問題は摂取カロリー過多、いわゆる食餌の問題が多いです。
一番多いものとしては間食のおやつやヒトの食べている食事を与えてしまうことです。
この部分をなくすことにより少しづつでも体重は減ってきます。
それでも変化がないということであれば、主食であるフードの内容を見直し、減量用のフードも検討する必要があると思います。
またたとえ減量用のフードを食べていたとしても量を計らず与えると想定よりも摂取カロリーを超えてしまうことがあるため、フードを与える際にはしっかりと計量する必要があると思います。
最後に今回の件で取材を受けた一部始終です。
このようなあまり得意ではなく、結構緊張していましたが、伝えることは伝えれたと思います。
なかなか経験できないことを経験させていただけたので、ペットの減量に取り組んでいただいた飼い主様、協力していただいたスタッフの方々、取材を依頼していただいた編集部の方々への感謝を忘れずに今後も頑張っていきます。
今回は以上で終わります。
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