こんにちは院長の伊藤です。

本日はヒバカリのダニ感染症例をご紹介します。

以前、10年ほど前にボールパイソンのダニ感染について報告させて頂いています。

興味のある方は、こちらをクリックお願いします。

野生のヘビを捕獲したところ、そのヘビがヒバカリであり、かつ皮膚には何匹ものダニが喰いついていたという話題です。

実際、野生のヘビはマダニ等の外部寄生虫の感染を受けている個体が多いのも事実です。

ヒバカリのヒバカリ君(性別不明、体重13g)は、飼主様が捕獲した野生の個体(幼体)です。

ヒバカリとは聞きなれない名称ですが、爬虫綱有鱗目ナミヘビ科ヒバカリ属に分類されるヘビです。

無毒種ですが、かつては毒蛇とみなされていました。

ヒバカリの名の由来は、「噛まれたら命がその日ばかり」に由来するそうです。

日本(本州、四国、九州、壱岐、屋久島など)に広く分布する在来種です。

全長は40~65cm、平地から低山地にある森林に生息し、水辺を好みます。

性格はおとなしく、大きくならない、餌はマウスでなくても飼育できるなどの理由で人気があります。

しかし、飼育は難しく、およそ1シーズンで死亡してしまうケースも多いです。

体が小さいがゆえに温度や湿度の変化の影響を受けやすい、餌切れ、水切れに弱い、病気になったら手の施しようがないと評価されています。

飼い主様が、ヒバカリ君の頚部に2匹、上腹部に1匹、下腹部に1匹のマダニを見つけての来院です。

下写真の黄色矢印がマダニを示します。

上腹部に寄生吸血しているマダニ(下写真黄色矢印)です。

ピンセットで摘出します。

この時、ダニの口器が鱗と鱗の間の皮膚に食い込んでいるため、口器をちぎって残すと皮膚炎を引き起こすので慎重に行う必要があります。

続いて、下腹部に寄生しているマダニです。

この下腹部は脱皮の最中にマダニが吸血しています。

皮膚炎を引き起こしています。

マダニを拡大した画像です。

マダニに関しては、当院のHPに記載されていますので興味のある方は、こちらをクリック参照して下さい。

マダニは、マダニ科の14の属と702種から構成されます。

今回、ヒバカリ君に感染しているマダニの分類の詳細は良く分かりませんが、フタトゲチマダニの仲間であろうと思われます。

ヘビダニは、多数寄生でヘビに貧血を起こさせるだけでなく、敗血症の原因となるAeromonas hydrophila という細菌を媒介することが知られています。

下写真は、今回ヒバカリ君から摘出したマダニです。

ヒバカリ君はダニ感染で皮膚炎を起こしていましたので、抗生剤を処方しました。

幼体で抵抗力が弱いため、大事に至らぬよう祈念します。

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