こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、チンチラのペニスが包皮から飛び出て戻らなくなる症状(陥頓包茎)とその原因となる輪状の被毛(ファー・リング)についての考察です。

チンチラのチロ君(雄、3歳10か月齢、体重540g)は陥頓包茎を発症して受診されました。

チロくんは包皮から飛び出たペニスが戻らないままの状態となりました。

本人も患部を気にして舐めたり、排尿しずらそうな様子です。

下写真黄色丸は陥頓包茎を示します。

下写真矢印は、露出して戻らなくなったペニスの付根にリング状に毛が絡んで締め付けている状態を示します。

早速、このファー・リングを摘出するために流動パラフィンを染み込ませます。

ファー・リングにパラフィンが馴染んだ所で、ピンセットで少しずつファー・リングを外します。

ファー・リングが取れました。

暫くの間、ペニスが戻らない(陥頓包茎)状態にありましたので、包皮内にペニスを戻します。

綿棒で優しくペニスの先端を押します。

ペニスが、流動パラフィンで濡れているため容易に包皮に完納出来ました。

下写真は、ペニスから外したファー・リングです。

そんなに厚い被毛の輪でありませんが、それでも十分ペニスの付根と包皮間に食い込むと陥頓状態を招きます。

一般には、成熟した雄で過剰な身づくろいや発情に伴う尿のマーキングをする個体にファー・リングは良く見られます。

陥頓状態が続くと排尿障害で尿毒症に至る場合があります。

あるいは、細菌感染で亀頭包皮炎を起こす場合もあります。

長時間に及ぶペニスのファー・リングによる絞扼でペニスが壊死を起こす可能性もあります。

陥頓包茎が認められたら、まずはペニスの付け根まで包皮をめくり、ファー・リングの存在を確認したら速やかに上記の処置で外して下さい。

ファー・リングを外すことで、快適に排尿も出来る様になります。

チロ君、お疲れ様でした!

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