オカメインコの上腕骨骨折整復術
こんにちは 院長の伊藤です。
愛玩鳥は色んなタイプの骨折をします。
今回は、飼主様が踏んで翼の骨(上腕骨)を骨折したオカメインコの症例です。
オカメインコのサラちゃん(雌、1歳)は、左翼がだらんと下がって、骨折しているようだとのことで来院されました。
下写真の黄色丸は左翼を示します。
左肩が下がっているのがお分かり頂けると思います。
早速、レントゲン撮影をしたところ、左上腕骨の骨幹部が骨折しているのが判明しました(下写真黄色丸)。
オカメインコの上腕骨は太く頑丈に作られています。
しかし、上腕骨骨幹部が骨折した場合、骨髄腔とほぼ同等の太さのピンを選択し、骨髄内へピンニングします。
サラちゃんの場合は、1.5㎜の骨髄ピンを使用しました。
まずは、全身麻酔のための麻酔導入を実施します。
麻酔導入が終わったところで箱から出てもらい、マスクを当て維持麻酔を行います。
骨折部の周辺の羽根を抜いて消毒を実施します。
下写真の黄色丸は骨折している上腕骨の近位端です。
骨折部は斜めに割れており、斜骨折に分類されます。
加えて骨折部には割れて粉砕された骨片も確認されました。
術野を目視出来るように皮膚にメスで切開を加えます。
下写真黄色丸が上腕骨近位端の骨折端を示します。
この骨折端を鉗子で把持しながら、これからピンドリルで骨髄内へピンを入れて行きます。
骨髄ピンが上腕骨の近位端を貫通しているかを穿入部の体側側に指を当てて確認します。
上腕骨の近位端にピンが貫通しました。
一旦、ピンドリルを外して反対側に装着して逆方向にピンを入れます。
下写真黄色矢印がドリルする方向(反対側)です。
下写真黄色丸(骨折部の近位端)にピンの先端が出て来ました。
これから骨折部を整復してピンを骨折部近位端と遠位端に通します。
整復が完了しました。
上腕骨近位端(肩口)から出ている余剰のピンをピンカッターで切断します。
確認のためレントゲン撮影を行いました。
骨折部が斜骨折かつ破損しておりますので、骨折端の整復が若干ズレが生じています。
皮膚切開部を縫合します。
上腕骨から突出しているピン(下写真黄色丸)をサラちゃんが干渉しないよう、保護のためのゴムキャップを装着します。
羽ばたきを防止するために翼と胴体をテープで固定します(ボディ・ラップ法)。
麻酔から覚醒したサラちゃんです。
このまま順調に安静を保てれば、3~4週間で骨癒合が期待できると思われます。
飛べるようになるまで時間がまだかかりますが頑張りましょう!
サラちゃん、お疲れ様でした。
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