チンチラの脛骨骨折(創外固定法 その2)
こんちは 院長の伊藤です。
前回、チンチラの脛骨骨折(創外固定法 その1)でチンチラのしずくちゃんの脛骨骨折の手術をご紹介しました。
その詳細(チンチラの脛骨骨折 創外固定法 その1)はこちらをクリックして下さい。
本日は、その後のしずくちゃんの骨折治癒までの経過をご報告します。
骨折は治癒に至るまで非常に時間を要します。
骨折整復手術の成否は、手術自体の成功はもとより、何か月後に骨癒合が完全になされたかで決まります。
骨折の部位によりますが、1~3か月は安静が必要となります。
つまり骨癒合が完了するまでは、飼主様はもとより術者としての私も安心出来ません。
加えて、今回は創外固定法ということで手術後のケアが大変です。
それでは、しずくちゃんの骨癒合までの道のりをご覧いただきましょう。
チンチラのしずくちゃん(雌、1歳8か月齢、体重480g)は右脛骨を骨折しました(下写真黄色丸)。
骨折部の整復法として、創外固定法を実施しました。
黄色矢印が骨折部です。
骨折部の一部が粉砕して間隙があり、骨折端の完全な整復は期待できないのですが、後の仮骨による架橋形成を期待します。
パテで両側を固定して、手術は終了です。
以上が前回のあらましです。
その後、しずくちゃんは定期的に来院して頂き、ピン刺入部の術部管理をしました。
ピンが皮膚に刺さってる部位は、細菌感染の恐れがありますので、定期的に消毒洗浄します。
患部の洗浄をしています。
ピン刺入部にイソジンゲル®を塗布します。
再び、パテを脱脂綿で包み粘着テープで保護して終了です。
上記の消毒洗浄を行いながら、骨癒合するまでレントゲン撮影を継続して行いました。
以下に継時的に骨折部のレントゲン像を載せます。
術後4週目では、まだ骨折部をカバーする仮骨形成は不十分な状態です。
続いて、12週目の画像です。
仮骨の形成は進行しており、脛骨自体のアライメントもまっすぐに近い状態になって来ました。
16週目になると骨折ラインはもはや判明できないくらいに修復してます。
4か月近くの術後管理は大変でしたが、やっとピンを除去することが出来ます。
これから、しずくちゃんの創外ピン抜去を行います。
骨折整復手術時と同じくイソフルランで麻酔導入を実施します。
維持麻酔も落ち着いたところで、テーピングをはずしパテと創外ピンを露出します。
下写真黄色矢印に創外ピンが確認できます。
ピンをニッパーで切断していきます。
パテを外しました。
脛骨に残っている創外ピンをハンドドリルに装着して、ピンを抜去します。
まず、しっかり皮膚を消毒洗浄します。
ピンに絡みついた被毛を外します。
ピンバイスに創外ピンを装着し、骨髄内に残存したピンを抜去します。
ピン抜去が完了しました。
ピン抜去直後のレントゲン像です。
ピンの刺入した穴が確認されますが、骨折部(下写真黄色矢印)の骨癒合は完了してます。
ピンで刺入部の皮膚が修復するまで、1週間ほどテーピング保護します。
長い期間にわたる療養期間に耐えてくれたしずくちゃんです。
重いパテも取り除いたので、肢の動きも軽やかです。
ピン抜去から1週間後のしずくちゃんです。
動きが俊敏で写真撮影が難しいくらいです。
骨折した右後肢の動きもスムーズで、跛行も認められません。
骨癒合も完了し、神経学的問題もなく無事治療を終了出来て良かったです。
しずくちゃん、お疲れ様でした!
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