こんにちは 院長の伊藤です。

これから6月を迎え、蒸し暑い日々が続きます。

体調を崩す動物たちが多いのもこの梅雨入り時期です。

本日、ご紹介いたしますのは犬のハエウジ症です。

ウェルシュ・コーギーのアイン君(12歳、去勢済)は胸とお尻周りを痒がるとのことで来院されました。

飼い主様が痒がる幹部から、ウジがいたと申告がありました。

暑くなってきた頃だから、ついでにサマーカットをして欲しいとの飼主様からの要望もあり、またハエウジがたかっている患部を確認する上でもバリカンカットをすることになりました。

ウジがいるとの患部については、カットをしたところ下の写真の通りでした。

黄色丸の部分が炎症を起こしています。

頸背部の炎症部です。

腰背部の炎症部です。

ニクバエなどのハエが患部(主に外傷や褥瘡等を起こしている皮膚)に産卵し、孵化したウジが傷の表面を移動して傷口からの滲出液や死滅した皮膚細胞を食べます。

ウジは場合によっては、天然孔(眼、鼻、口、肛門など)にももぐりこんでしまう事もあります。

当然、ウジが湧いてる部位は痒み、疼痛を伴い、犬は患部を気にして舐める、引掻くを繰り返し二次的に細菌感染を引き起こします。

今回のアイン君は1週間ほど下痢をしており、肛門周辺が不衛生な状況であったそうです。

恐らくその時にハエに卵を産み付けられたと考えられます。

バリカンで剃毛中、何匹かのウジが見つかりました。

幸いにして、ウジは少数寄生で皮膚も大きなダメージを受けていませんでした。

アイン君の皮膚炎治療のため、患部を消毒し、駆虫剤(フィプロニル)、抗生剤を処方しました。

ハエウジ症の治療の基本は、患部を綺麗に剃毛し、消毒、ウジを確実に用手で摘出することです。

加えて、皮膚の炎症の治療、飼育環境を衛生的にすることです。

ウジの重度寄生の場合、全てのウジを鉗子などで除去することは非常に手間がかかります。

長毛種であるほどに、ウジの寄生は見落としがちです。

特に今のような梅雨の時期は、飼主の皆さま要注意です。

 

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