犬の外耳炎
こんにちは 院長の伊藤です。
当院では、この1~2週間外耳炎の外来が急増しています。
恐らくは、蒸し暑くなってる気象状況も関連していると思われます。
今回ご紹介する外耳炎ですが、日常診療では最もポピュラーな耳科疾患です。
外耳炎は、外耳道内に耳垢がたまり変質して、外耳道壁に刺激を与えたり、湿潤な耳垢に細菌が繁殖して二次感染をした結果、発症するとされています。
下写真のチワワ君は耳を痒がって、やたら頭を振る、耳の中が臭いとの理由で来院されました。
耳の中を診てみますと、下写真の様に耳介内が赤く腫れあがっており、耳の中からは耳だれが出ているのがお分かり頂けると思います。
耳に鼻を近づけると独特な腐敗臭を感じます。
さらに検耳鏡で外耳道内を診ますと、外耳道壁が腫れあがって耳の穴が閉塞しています。
話は変わってコーギー君ですが、先のチワワ君同様に耳の中を気にしての来院です。
既に耳の中は耳だれで充満しており、外耳道内からは耳だれが断続的に出てきています。
耳介部を綺麗に洗浄すると下の写真のように耳の入り口付近は、自身で引掻いて真っ赤に腫れあがっています。
先に外耳炎の原因を述べましたが、細菌以外にもマラセチアやミミヒゼンダニ、アレルギー性皮膚炎が関与しているケースもあります。
本日のこの2件は、耳垢をスライドガラス上に塗沫して染色・鏡見したところ、グラム陰性の細菌が多数認められました。
検耳鏡で鼓膜の破裂はありませんでした。
細菌性外耳炎ということで、外耳道内を刺激性の低い洗浄液で丹念に洗い、抗生剤の点耳薬を投薬しました。
ご自宅でも耳洗浄と点耳薬投与を続けていただく必要があります。
完治までに数週間要する場合も普通にあります。
外耳炎は何度も再発を繰り返す疾病です。
日常的に当院では耳掃除を励行しています。
耳垢を溜めこまないように定期的に耳洗浄を実施させて頂きます。
それだけでも外耳炎を予防することは可能です。
外耳炎を甘く見てますと、鼓膜が破れ中耳炎になり、最後には内耳炎に至ります。
内耳は平衡感覚を司っていますので、内耳炎になりますと斜頸、先回運動、顔面神経麻痺、運動失調等の症状が出ます。
健常な日常生活が送れなくなりますので、くれぐれも耳にご注意を!
まずは愛犬が耳を頻繁に引掻く、頭を振る、耳から臭い匂いがするという条件が重なったら、外耳炎になっているかもしれません。