こんにちは 院長の伊藤です。

若い大型犬種によく見られるのが、今回ご紹介するハイグローマ(滑液嚢腫、肘腫)です。

バーニーズマウンテンンドッグの小雪ちゃんはもうすぐ7か月齢になる女の子です。

性格も非常におとなしく優等生的なワンコです。

小雪ちゃんは肘に水が溜まって来院されました。

このハイグローマという病気は、先に記したとおり若年齢の大型犬に認められます。

体重の重い大型犬がずっと同じ姿勢でいますと、肘に荷重がかかり肘部にタコ(胼胝)ができることがあります。

このタコができない場合は、肘の後ろに水が溜まり腫れることがあります。

これをハイグローマと呼びます。

またの名を滑液嚢腫、肘腫とも言います。

肘関節にある滑液嚢という袋に炎症が起こり、漿液が貯留します。

黄色い丸の中が小雪ちゃんの肘部で漿液の貯留により腫れているのがお分かり頂けると思います。

発生の原因は、硬い床の上で横になったりしますと肘が繰り返し慢性的刺激を受けることとなり、肘部の炎症が起こることによります。

放置されますと、どんどん漿液が溜まってしまい肘部の皮膚が裂けたり、潰瘍化し、さらに肘の骨まで病変が進行します。

早速、患部を穿刺して無菌的に漿液を吸引します。

吸引しますと赤色粘性の低い炎症性漿液が15mlほど溜まっていました。

小雪ちゃんが可愛かったので、ハイグローマとは直接関係ないスナップショットを載せてしまいました。

治療方法としては、まずは生活環境の改善を優先して下さい。

床面が硬いと肘が当たってこの病気になりやすいため、マットやカーペットを敷いて床を柔らかくするように配慮して下さい。

軽度の炎症であれば、消炎剤や抗生剤等の内科的治療に反応します。

ハイグローマが非常に大きくなったら、外科的な切除を必要とする場合もあります。

病変部が骨突起の直上にあり、直接に切断切除すると創が広がる傾向があるため、うまく皮膚形成術を考慮する必要があります。

 
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