チンチラの死産
こんにちは 院長の伊藤です。
本日ご紹介しますのは、チンチラの死産です。
ここでチンチラの繁殖について、触れておきたいと思います。
チンチラの雄の性的成熟早くては3か月齢、平均的には6か月齢です。
雌の性的成熟は4か月から8か月齢と言われます。
雌の発情は1か月から1.5か月に一度、数日間やって来ます。
この数日間に交尾が行われ、交尾自体は一瞬で終了します。
交尾が成功裏に終わると半日以内に雌の膣から膣栓と呼ばれる白色の分泌液の塊が排出されます。
妊娠期間は、ウサギの28日間と比較すると平均111日間と非常に長いのが特徴です。
チンチラは、流産・死産が比較的多いです。
子宮内で胎仔は成長して骨化も進行しますが、何らかの原因で死亡し、結果として胎仔は吸収されます。
死産の原因は、栄養失調であったり、飼育環境の不全(高温多湿)によるストレス、物理的な落下、合併疾患によることが関係しています。
さて、そんなチンチラですが、本日は死産の症例について報告させて頂きます。
チンチラのウルちゃん(体重600g、雌、1歳)は、同居の雄と交配し、出産予定日から約1週間遅れて2匹を流産しました。
流産して2週間経過しても、陰部からおりものが出るとのことで当院を受診されました。
まずは、レントゲン撮影を実施しました。
子宮周辺を拡大します。
下写真黄色丸に恐らく胎仔の骨格と思われる像が認められます。
下は側臥姿勢のレントゲン像です。
子宮周辺の拡大像です。
黄色丸は既に吸収過程にある胎仔の骨格を示します。
この1匹は子宮内で死亡し、吸収されているものと思われます。
この死産した胎仔が吸収されるか、排出されるかを経過観察することとしました。
暫くは、抗生剤・消炎剤の投薬を継続します。
初診から1週間後にはおりものも陰部から出なくなり、ウルちゃんの全身状態も良好となりました。
そして、初診から2週間後に胎仔の骨格と思しきものを排出したとの連絡を飼主様から頂きました。
下写真は、飼主様がお持ちいただいた胎仔の骨格(陰部から排出したもの)です。
下写真の黄色矢印は胎仔の足の名残と思われます。
流産からカウントして約1か月近く胎仔は子宮内に存在したと思われます。
慢性的な子宮疾患にまで発展しなくて良かったです。
ウルちゃん、頑張りましたね。
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