こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのはヘビの脱皮不全、特に眼の脱皮不全です。

ヘビは瞬きをしません。

常時、眼は開いた状態です。

その代わりに角膜の外側に透明な膜を形成しています。

この膜をアイキャップ(Eye cap)、もしくはスペクタクル(Spectacle)と呼びます。

爬虫類は定期的に脱皮を行います。

脱皮がスムーズに行われれば良いのですが、脱皮不全が生じることも多いです。

このアイキャップが頭部の脱皮部と共に連結して脱皮出来れば問題はないのですが、アイキャップだけ残ってしまう場合もあります。

本日はこのアイキャップが脱皮不全で残ってしまった症例です。

ベーレンパイソンのりんてん君(年齢不明、性別不明、体重7.0kg)は左眼が白く腫れているとのことで来院されました。

ベーレンパイソンはパイソンの中でも別格に扱われており、「ベーレン様」や「神」と呼ばれる存在です。

パプアニューギニア産で最大全長3m近くまで成長し、性格は温和とされます。

黒く大きな身体が特徴で別名black pythonとも呼ばれます。

下写真黄色丸が突出して白濁した左眼です。

アイキャップを切除処置します。

体重が7㎏ある大きなヘビのため、力もあり、飼主様含め保定の補助が必要です。

注射針を用いてアイキャップを引っ掛け、ピンセットで牽引して切除する方法を採ります。

25Gの注射針でアイキャップを穿刺します。

アイキャップと角膜の間には、涙液が産生され貯留しています。

アイキャップを軽く穿刺して、その傷を眼科用のピンセットで把持・牽引します。

古いアイキャップが固着して、なかなかスムーズに一皮むけるように外せません。

慎重にアイキャップを切除します。

下写真黄色丸は外したアイキャップの一部です。

心なしか眼元もすっきりしたりんてん君です。

外したアイキャップの一部の拡大写真です。

立派なヘビなのでアイキャップも乾燥すると厚めでコンタクトレンズのようです。

処置が終了したところですが、飼主様が持参されたネットに戻すのも大変です。

脱皮不全を防止するためには、飼育槽内の湿度管理(約40~60%)に留意して下さい。

りんてん君、お疲れ様でした!

 

 

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