犬の真性半陰陽
こんにちは 院長の伊藤です。
今回、ご紹介させていただきますのは真性半陰陽という珍しい症例です。
先日、スタッフブログ患者様ご紹介のコーナーで登場していただきましたスズちゃん(パグ、6歳)です。
卵巣の先天異常の一つに真性半陰陽があります。
これは、外観は雌で陰核が大きく、性腺には両側に卵精巣があるか片側ずつ卵巣と精巣とが存在するものがあります。
簡単に申し上げれば、女の子なんだけどお腹の中には睾丸があるワンちゃんです。
受診時に陰門から陰核が突出している点(黄色の矢印)に気づきました。
レントゲン撮影をしたところ下の写真にありますように黄色の丸・矢印で示したところに陰核の骨構造を認めました。
一般に雌の陰核には、雄の陰茎骨にあたる骨の構造物は存在しません。
この陰核内の骨が大きいと座ってる姿勢だと床面との接触で痛がったりするため外科的に摘出する場合もあります。
今回は、スズちゃんは疼痛を伴っていないようなので、そのまま経過を見ることとしました。
飼主様が避妊手術を希望されたので、開腹している写真が下のものです。
摘出した左右の生殖腺です。
本来ならば、上の写真の黄色矢印で示す卵巣の場所は卵巣嚢という袋に包まれているべきなのですが、そのまま露出した形態をとっています。
見た目も精巣及び精巣上体様でした。
雌としての子宮体・子宮角は持っているけど、卵巣の代わりに精巣が存在しているという感じです。
今回、この精巣と思しき組織の病理検査を実施しておりませんので詳細の報告ができません。
私自身、獣医師になって初めてこの半陰陽という症例に遭遇致しました。