アカミミガメの中耳炎
こんにちは 院長の伊藤です。
カメは皮膚の細菌感染があると皮下に膿瘍を生じることが多いです。
今回、ご紹介しますのは京都からはるばる来院されましたアカミミガメのカメさんです。
カメさんは左眼のすぐ横あたりの皮膚がはれて白くなったとのことで受診されました。
患部がお分かり頂けるでしょうか?
下写真の黄色丸の部分が病変部です。
ここは解剖学的にカメのどこに当たるかといいますと、黄色丸の奥にあたる部分が中耳になります。
個体によっては、この鼓膜部が赤くなったり、腫れたりします。
今回のカメさんの場合は、完全に腫れて鼓膜部が膨隆していました。
中耳炎を起こして、その結果中耳内に膿が貯留してしまったというわけです。
爬虫類の膿瘍は基本的にチーズ様に塊として患部を塞いでしまいますので、外科的に摘出する必要があります。
早速、患部を注射針で穿刺して膿を摘出することとしました。
患部を穿刺して、鉗子で圧迫しますとチーズ様の膿(黄色矢印)が出て来ました。
さらに深部を2本の鉗子を使用して、軽く圧迫を加え膿を排出します。
硬度を伴った膿が奥から出て来ました。
穿刺した鼓膜部に消毒洗浄を行います。
下写真黄色矢印は穿刺した患部です。
しばらくは、抗生剤を投薬してもらいます。
患部は解放創のままで縫合する必要はなく、完治します。
乾酪化した壊死細胞や炎症細胞から成るチーズ様物質です。
カメさんの小さな体からすれば、結構大きな膿ですね。
中耳炎の原因としては、細菌が口腔と通じる管(耳管)から中耳に入り込み起こります。
湿度が高く、不衛生な環境で中耳炎は起こりやすいとされます。
夏真っ盛りの今、水槽内の環境衛生には十分気を付けて下さい。
カメさん、京都からご来院お疲れ様でした。
お大事にしてください。