アーカイブシリーズ 犬の異物誤飲(トリの骨)
本日、アーカイブシリーズで犬の異物誤飲を載せたいと思います。
過去の異物誤飲症例の中でも、比較的多いのが鳥の骨です。
家庭で調理する機会が多いということもあると思いますが、丸呑みこみして受診という形が多いように思います。
柴犬の三四郎君(10歳)は、お散歩中にどうやら鳥の骨らしきものを飲み込んだと来院されました。
しっかり骨をかみ砕いて飲み込んでくれればよいのですが、散歩中ですと飼主様から奪われるのが嫌で速攻、飲み込んでしまう確信犯的な犬が多いのも事実です。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
お分かりいただけたでしょうか?
胃の周辺部を拡大してみます。
上の黄色丸・矢印で示したように、はっきりと鳥の骨の形状が確認できます。
胃の中を骨が突っ張り棒のごとく入り込んでいます。
これでは嘔吐させて回収するjことはできませんし、胃の幽門部から十二指腸まで送り込まれることも不可能でしょう。
この鳥の骨の全長をコンピューターで測定したところ、10㎝もあることが判明しました。
結局、胃を切開することとなりました。
いつものごとく全身麻酔です。
開創器で胃を露出して、メスで切開を加えるところです。
メスを入れたところ、すぐに胃を押しやるかのように下から鳥の骨が顔を出しました!
早期の回復を考慮して、胃の切開部は2cm以内に留めました。
あとは胃を縫合していきます。
次に腹膜・腹筋を縫合します。
最後に皮膚縫合で終了です。
手術は1時間以内で終了して、三四郎君も無事麻酔から覚醒し始めました。
三四郎君は1週間ほど入院して頂き、その間流動食も含め、胃に優しい食生活を送ってもらいました。
柴犬は比較的、異物誤飲が多い犬種です。
特に散歩中に、瞬間的に何でもお気に入りの物を見つけたら、何も考えずに口の中に入れる傾向が強いように思います。
飼い主様から、その時点で注意を受けようものなら、取られるくらいなら飲み込んでしまえ、とばかりに異物誤飲に至ります。
お散歩中にはくれぐれもご注意ください。
最後に入院中にちょっとダイエットした三四郎君です。
無事退院できてよかったです。